父の兄である雄一伯父さんと嫁の良子さん、そして妙子さんが同席し総勢6名での夕食になった。
お寿司と地元の野菜で作った天ぷらや煮物などがテーブルに並んだ。
お爺様は何も語らずちびちびと冷酒を飲まれながら召し上がっている。
お婆様はもっぱら暖かいお茶を飲まれており、私はビールを進められて他の方と一緒に少しだけ頂いた。
そしてお婆様が私に食べるように勧めるので、勧められるがままに頂いた。

話はお婆様の思い出話で、父の子供の時のことを昨日のことのように話された。
雄一伯父さんはおとなしいが父はやんちゃだったこと、勉強もスポーツも出来たこと、しょっちゅう怪我をして傷跡がないときが無かったことなど、父からは聞いたことが無い話ばかりだったので興味深かかった。
なごやかな時間が過ぎていった。


泊っていけとお爺様に言われたが、ホテルを予約していたし、明日の朝早くに東京に帰らなければいけないと丁重にお断りをしてホテルに戻ることにした。
皆飲んでしまったのでタクシーを呼んでくれた。

「では、また納骨の日に参ります。よろしくお願いいたします。」

四十九日の法要と納骨に関しては、まかせて欲しいとお爺様がおっしゃってくださったので、ありがたくお願いをした。
ご挨拶をして三崎家を出た。


ここに来るまでは気が重かった。しかし、今は噓のように晴れ晴れしい気分だった。
タクシーに乗り込み、窓を少し開けた。

窓から入って来る夜風がわずかに酔った頬にあたり心地よかった。
目を閉じてその風を充分に感じた。