と、思ったその時。
「おーい、夜咲彼方。偶然聞こえてきちゃったんだけどさー。何でお前、ペアの人に勉強教えてもらってんだよ。おっかしいー!」
「俺たちが、勉強! 教えてやろうか、つきっきりで毎日♡」
えっ……………?
私は振り向いた。
前田と富田。何してんの?
そりゃあ、私は夜咲に勉強教えてるけど。
あなた達には関係ないでしょ?
「えっ。俺、帰ります……」
夜咲も怯えてる。
いいぞー! 断れ、夜咲!
でも、前田達も負けていない。
それどころか、夜咲は前田達に負けかけている。
「いいだろ別に! あ、もしかして夜咲、ペアの人が好きなのかよ?w」
「何だよ、早く言えよ! 応援するぞww」
傍から見れば、夜咲を応援している優しい友達に見えるかもしれない。
でも私と夜咲の目には、前田たちは夜咲を煽っているようにしか見えない。
その証拠に、二人は意地悪そうにニヤニヤしている。
何なの、コイツら。気持ち悪い……。
前田たちは、どんどん夜咲を追い詰めていっている。
私は、帰りたいのに、帰れずにいた。
なんか、夜咲をほっとけない。
何でだろ。
何で、私は、夜咲をほっとけない?
夜咲が前田に言い返す。
「いいえ、ただ勉強を教えてもらってるだけです」
「ふぅん?」
「俺は、未来さんのことが好きか分かりません。でも。未来さんには感謝しています。だから……
あなた達なんかには、勉強を教わりません! 未来さんの方が、100億倍いいです‼」
「「「なっ⁈」」」
私と、前田と、富田。三人同時に叫んだ。
私も、叫んだ。
ということは……。
「富田。今の、誰だ?」
「前田じゃないのか?」
「でも、女の声だったぞ」
「あっれ、おかしいな。って、ん……?」
富田が私の方を見た。前田も見た。
そして、二人は焦った表情になった。
「げっ⁈ おい前田! アイツって、夜咲の相部屋の人じゃないのか⁈」
「確かに、名札に朝木って書いてある! もしかして、今まで俺たちが夜咲にしてたこと……」
「「全部見られてたのか⁈ ひーっ!」」
「今日はこれで勘弁してやる! 行くぞ富田!」
「おう! あ、えーっと、朝木さん! ごめんなさい! もう、夜咲には手を出しません!」
「うん、分かった! でももし、また手を出したら許さないからね?」
「「ひえぇーーっ!」」
ありゃ、私って、怖い前田たちを怖がらしちゃうほど怖いの?
ちょっと悲しいー。
「それじゃ、行こっか」
「うん」
私達は寮に戻った。
✴︎✴︎✴︎
「あ、あのっ!」
寮に着いたら、突然夜咲が話しかけてきた。
「うん? どうした?」
「これからは……」



