「おかえりなさい!」

笑顔で出迎える。かわいい女の子って、こんな感じかな。

「えっと…どうしたの?」

が、私の思ってた反応とは全く違う、引き気味の啓吾くんに戸惑う。

「かわいい女の子がタイプって言ってたから、かわいい女の子になりきってみたの…」


口に出してから、なんだか恥ずかしくなってきて、だんだん声が小さくなった。

「っはは! なんかズレてるね、愛美ちゃん。面白くて良いけど」

笑ってほしくてしたんじゃないんだけどな…。

でも、少しは仲良くなれたかな?

すると啓吾くんは、私のみつあみにそっと触れた。

昼間の時と同じ、まるでガラス細工をそうっと持つような触り方は、いちいちドキドキしてしまう。

優しい瞳でこちらを見つめてきて、ドキドキでどうにかなりそうで、沈黙を破ってしまった。


「啓吾くん」

はっと気がついた啓吾くんは、ごめんごめん、と言いながら薄く笑みを浮かべて、個人スペースへ上がっていってしまった。

しばらく、心臓が鳴り止まなかった。


あんな、別の女の子ばかり仲良くする人に。

私と似ても似つかない、手に負えない男の子に。

ドキドキしてしまう自分がいる。


それでも、啓吾くんは私の運命の人なんだと思うと、意識せずにはいられなかった。

この人が、私の運命の人。

そう思うと、悪くないんじゃないかと思ってしまった。