「質問は…『好きなタイプは?』」

ふいに、初恋の彼を思い出した。

桜の下、1人佇む彼の姿が、かっこよくて好きになった。

知れば知るほど、好きになっていった。


「どんなだろ、女の子はみんな好きだからなぁ」

女の子はみんな好き、か。

でもそれじゃああんまり仲を縮めるきっかけにはならないのでは…?

「具体的にどんな女の子…?」

ひとまず会話を広げよう。そう思ったけど…

「んー、かわいい子…かな」


かわいい女の子…アバウトすぎる。結局女の子全般好きってことか。なんだそれ。

「私は…ひとりで立てる人、かな」

「どういうこと?」


誰かに媚びず、ひとりでも生きていける人。

遠くから見たらかっこよくて、みんな注目しちゃって。

近くで見るともっと魅力的に見えて、近づけば近づくほどかっこよくなる存在。


って言ったら、きっと怒っちゃうかな。

啓吾くんと、真反対なんだもん。


「かっこいい人、かな」

「俺と変わんないじゃん」

かわいい人が好みの啓吾くんと、かっこいい人が好みの私。

似た者同士なのか、そうじゃないのか。

啓吾くんは、つかめない。

でも、これだけは分かる。

優しく包んでくれたその腕だけは、

本物の啓吾くんだ。