「愛美ちゃんて、本当不器用だよね。昨日も、今日も」

11月24日。『学び舎に咲く愛をみつけて』ゲームから2日。

うしろから声がして、振り向いた先には、大好きな啓吾くん。

「…不器用なりに、考えたんだよ」


啓吾くんが近づいてきて、2人でバラを見つけた花壇の前で向かい合わせになる。

なんだか、あの冬の日のようで、不思議な気持ちになった。


「啓吾くん、私のこと、どう思ってる?」

単刀直入に聞く。

もう、下手な遠回りの質問なんてしない。



「言ってるじゃん。俺は1人の子を好きでいるとか無理なの。女の子みんなと仲良くしたいから」

じゃあ、どうしてこの学校にきたの?

女の子と遊ぶため?

違うよね?

いろんな女の子と出会うために、たった1人のパートナーと結婚を目指す学校に来るわけがない。


それに…。

私に優しくしてくれた啓吾くんは、絶対嘘じゃない。

それだけは、分かる。


右手に持つのは、啓吾くんにもらった1本のバラ。

左手に持つのは、自分で見つけた1本のバラ。

「私は、啓吾くんが好き。大好き」

何度でも伝える。啓吾くんが向き合ってくれるまで。


「ここで、啓吾くんをみつけて、良かった」

そして、彼の瞳を見つめながら、優しく微笑んだ。

私なりの、好きの伝え方。