「私は…」

「ゲーム終了〜〜!」

突然の学園長の声にびっくりして、肩を震わせた


「みつけたバラは本数が分かるように写真を撮って運営に送ってね」

「手元にあるバラはぜひ、愛する人へ贈ってくれ。では良い夫婦の日を」



愛する人。

この学園に入って、私が見つけた愛。

私は、

私は、愛してます。



「啓吾く、」

私がバラを差し出そうとすると、啓吾くんはそれを拒むように1本のバラを私に押し付けてきた。

どうしようもなくて、それを受け取る。

「1本だけね。残りは他の女の子にあげるから」

そう言うと、啓吾くんは手元に残った3本のバラを右手に抱えて、去ってしまった。


あの日と同じ。私はまた拒まれた。

きっと、無理、ってこと。

私には分かる。


風は冷たくなかった。

けれど、私の心は空っぽ。


あのドアを開けた瞬間、私の運命は始まったかと思った。

でも、思い過ごしだった。


運命なんかじゃなかった。


運命なんて、やっぱりなかったんだ…。