楽しそうに演奏する馨とは違い、ゆっくりしたスピードは凛花は苦手とするもので。
そのテンポにアレンジと変速しをつけながら、「早くして」と訴えていた。
これは本番でやって欲しくないな……。
そんなことを思っていると、考えていることが伝わったのか、凛花はギラッと睨んでから鼻で笑った。
はいはい。
今度は少し早めにするかな。
「君と会うその場所へ向かおうか」
中学校の廊下をふと思い出す。
一番最初に作って歌ったこの楽曲は、俺にとっては大事な歌だ。
例え、歌われる回数が減っても_
『Will』を知って、この曲は知らないことになっても_
それでも、俺の中では永遠に行き続けるだろう。