──とは言っても、学校にTV撮影、ライブの仕事で私は忙しくしていて。

事務所のマネージャーやボイス教室の先生が常に側にいる状況だったから、一人でお留守番になっても問題なく過ごせていた。


そもそも。

お兄ちゃんと過ごしていた時だって、家事を分担して手伝っていたから問題はないのだ。


それでも何かあった時に大人が側にいない状況は世間的にはあまり良くない印象だったんだろうな……。


奏音も微妙な顔をしていて、何て言葉をかけようか悩んでる様子だった。

それから当たり障りないことを聞いてくる。



「寂しくなかったのか?」


「小学校の頃から二人暮らしだったし、事情を知ってる大人たちが助けてくれてたからね。

別になんとも思わなかったかな。

それに、ビデオ通話で良く連絡を取り合ってたし」



家族全員宛のメールをしょっちゅうやり取りをしてたから寂しいと言うのとは少し違う。

単純に待ち遠しい感じで、楽しみであって、寂しくて泣きたくなるようなことではなかった。



「ね、テーブル拭いてくれる?」


「あぁ」



奏音に布巾を渡してお願いすると素直に聞き入れて手伝ってくれた。


今日の昼食は手軽にチャーハンと、昨夜のポトフの残りでチーズ焼きだ。

中華と洋食でコラボレーションとしては微妙だけど、お昼は“手軽に”が一番だからしょうがないと思う。