そうして始まった三人暮らしはスムーズに始まり、私は今まで以上に家事を熟しながら夏休みを過ごしていた。
3日目になるとだいぶ使い勝手が分かってきたのか、奏音の遠慮も少しずつなくなってきて、冷蔵庫の中に好きなものが増えてくる。
お陰で好みを把握すること出来た。
イメージ通りって言うか、甘い物は好きみたいで。中でも苺を使ってる物なんかを結構な頻度で購入している。
フルーツもあればその夜に食べてるし、大好物なんだろうなぁ……。
キッチンで昼食を作っていると、奏音がリビングにやっきて手元を覗いて来た。
「今日は出掛けないの?」
「あぁ。そろそろ課題に手をつけなきゃだしな。
──けど、教科書が家なんだよ。だから貸してくれ」
「分かった。後で持って行くね」
最後に盛り付けるお皿を選んでいると、麦茶で喉を潤した奏音が出来上がったものを見て呟いた。
「帆乃愛って本当に料理手慣れてるよな」
「ほとんど一人だったり二人暮らしだったりしたからね」
「ふぅん」
奏音は立ち去らずに見つめていたらしい、視線に気づきて少しだけ中学生の頃の話しをした。
「中学一年生の終わりにお兄ちゃんがこっちに引っ越して来てしばらく、お母さんが海外から帰ってくるまでの間はね。
二週間くらいだったかな。一人でお留守番してたの」
お兄ちゃんが今通っている大学に合格して、近くに住むことになって、家に私が一人になる時はお母さんが帰ってくることになった。
けれど、海外の活動の調整が間に合わないのがほとんどで、私は一人でお留守番をすることになったのだ。