ライブで東さんと会ったことは話していたけれど、その時何を話していたのかを詳しくもう一度話すことにした。
「それで東さんに会ったのか」
「うん。東さんに会ったからかな、他の人たちはどうしてるかなって思い出すことが多いんだよね」
「連絡すれば良いだろ。番号はまだ持ってるんだから」
「うん。そうなんだけど……」
「そのままお母さんとも話しくれると良いんだけどな」
「それは……。その内ね」
そう言うと、フッと鼻で笑った。
「前に進もうとしてるんだな」
手を伸ばして来て頭を撫で来ると、それ以上お母さんの話しには触れずに立ち上がった。
「今日はもう遅いし、寝るぞ。
明日は部屋の掃除するからな」
「うん」
欠伸をこぼしながら部屋へ戻るお兄ちゃんの背中を見る。
「お兄ちゃん」
眠そうな顔で振り向いお兄ちゃんに私は囁く。
「お願い聞いてくれてありがとう」
「そりゃあんなにお願いされちゃぁな」
「その辺は確信犯だったりしてね」
「だろうな。けど、良いよ。
妹のわがままを聞くのは兄の特権だからな」
カッコつけて言うお兄ちゃんに私は声を上げて笑た。
流石に眠たいのか欠伸をこぼしたお兄ちゃんに、おやすみと交すとおもむろに出て行った。
「今日は色々なことがあったな……」
まさか奏音が家出をするとはね。
──そもそも、知り合いから家出をする人が出たこもが衝撃だったな。
お兄ちゃんがこっそり連絡取り合うのも分かる……。
翌日、部屋の掃除と必要なものを準備して泊める準備をした。