奏音Side





俺が初めてギターに触れたのは、


小学校ニ年生の時。



高校一年生の秋からバイトをしていた兄さんが、正月休みで一本のギターを買って来た。




「どうだ!カッコイイだろ!」


「カッコイイ!俺もやる!」


「お前には大きいだろうなぁ」


「えー!やりたいー!」


「しょうがねぇなぁ……!」



そう言って兄さんは、俺のわがままに答えようとギターを肩に掛けさせてくれて。

ピックを渡されると、俺は適当に弦を弾いて音を慣らした。



_ジャーーン



その音色は歪つで、不協和音のような雑な音だったけれど。

鼓膜を震わせたその音は、すごく大事なものを教えてくれるような、そんな気がした。