──────そろそろ帰ろうかという話になって、本邸を出る前にお手洗いを借りる。
お手洗いを出た時、偶然にもさっきの……高橋さん…?に遭遇した。
面識はないのだけれど、凪くんが高橋さんと呼んでいたから……高橋さんでいいんだよね?
「胡桃様…」
「あ、はいっ、高橋さん…で大丈夫ですか?」
「もちろんです、ありがとうございます。」
優しい、包むように温かい笑み……
凪くんの周りの人も…凪くんと同じように素敵な人ばかりだ…
「今日はありがとうございました。」
私はぺこりとお辞儀をして、その場を去ろうとする。
その時、『お待ちください』と高橋さんに引き止められた。
「はいっ?」
「胡桃様に会えて使用人一同、大変光栄でした」
「……えっと…」
「将来の奥様にようやく出会えましたから」
待って、、私の聞き間違い…??今、将来の奥様って言った…?
ん?誰の、、奥様……??
「凪様が女性をここに連れてくるのは初めてなんです」
「胡桃様が最初で最後の方です」
最初って言うのはとっても嬉しかったけどこれから……来る女性はいるんじゃないかな、?
なんて思ったりしたけど、私は高橋さんのご好意だと受け取って、
「ありがとうございます」
と頭を下げた。