「あはは……なんでもないよ」


「そっか」


「うん」


「じゃあ……はい」


凪くんに差し出された手を見て、私は自分の持ってきた荷物のことを思い出す。


この中には、凪くんへのプレゼントが入ってる。


他のみなさんが凪くんに何か渡す時、一緒に渡せたらいいなと思って持ってきた。


それを今ちょうだいってことかな?


「分かってないのも可愛い」


「…へ?」


不敵な笑みを浮かべる凪くんは、どこか楽しそう。


「右手、俺の手の上にのせて」


「うん…」


その言葉にしたがって右手を凪くんの手に重ねると、凪くんは1拍も置かずに私と手の指を絡めて、そのまま1歩前へ進んだ。


転ばないように、私も凪くんの歩くテンポについていく。


門から玄関までの長い長い道をひたすら歩くと、その先に黒色のスーツを着た男の人が立っているのが見えた。