だけど、これが妃奈に惚れ込んだ男の末路。


「…誰。男?」


「……ん?何が…??」


はぐらかしてるとかじゃなくて、多分純粋になんの事か分かっていない様子。


「電話の相手」


違うって答えて欲しい。


心の中で強くそう願う。


真っ直ぐに妃奈の目を見ると、妃奈はぽかんとした表情を浮かべて、そのあと小さく笑った。


「どうしたの、凪くん…光莉しかいないよ?凪くんも知ってるよね、?」


……あぁ、上木さんか…確か妃奈の親友の…


よかった。舜くんとか言われたら…日影に何するか分からなかったから。


「うん、呼び止めてごめん。」


「全然大丈夫だよっ!じゃあ、私部屋にいるから、何かあったら呼んでね」


俺の心のうちなんて全く知らない妃奈にいつもと同じように笑顔を向けて頷く。


「うん」


「おやすみ凪くん!」


「おやすみ、妃奈」






妃奈のいなくなったその場所で、俺は自分の嫉妬深さに思わず頭をかいた………