(凪くんはヒーロー)


やってきてしまった駅伝の日。


憂鬱な気持ちが抜けることなんてなく、そのまま校庭に向かう。


「妃奈大丈夫。分かるよ、駅伝なんてやだよね」


その道中、光莉がずっと励ましてくれる。


「やっぱり、なくなるように先生に言ってこようか?」


そして、凪くんは駅伝をなくそうと?してくれてる。


普通は絶対無理だけど、凪くんならできちゃいそうなのが怖い。


「大丈夫、ありがとう」


だから、気持ちはありがたいけど何度も断っている。


「……妃奈に辛い思いをさせようとする人間なんていらないんだけど」


待って、凪くんの口からまた物騒な言葉が……


「わぁ、、東雲くんの妃奈愛すごすぎだね…」


私が何も言えない状況で先に苦笑いを浮かべたのは光莉。


「そ、なのかな」


返事をしながら凪くんの方に目を向けると、凪くんが纏っていた不穏な空気は一気に消え、私に優しい笑顔で応えてくれた。