(最終決戦は覚悟を決めて)


迎えの車に乗って、私は思っていたよりも早く東雲家本邸に到着した。


「胡桃様、こちらです」


1番に案内してくれた高橋さんについて行って、話し合いが行われている部屋の前に立つ。


「大丈夫ですか?胡桃様」


「…はい、大丈夫です」


大きな扉を目にすると、少しだけたじろいでしまう。


だけど、逃げ出そうなんていう気持ちは一切なかった。


この先に…凪くんも、凪くんのお母さんもお父さんも……花乃さんといるんだよね。


その姿を想像して、私は深く息を吸った。


私に確認を取ってから代わりにノックをしてくれる高橋さん。


高橋さんのノックのあと、中から若々しい女性の返事が聞こえた。


「どうぞ」


と……


高橋さんの手によって、ドアが開けられると…


その部屋の中にいた人たちの視線が一気に私に向いた。