(恐怖を打ち消すのは)





………真っ白なコピー用紙を持つ手は、気づかないうちに震えていた。


「なっ、にこれ……」


下駄箱に入れられていて……なんだろうと特に疑いもなく開いてみれば……



書かれていたのは、あまりにも残酷な文章だった。




『早く凪くんの前から消えてくんない?
勘違い女。あんたみたいなのが凪くんに愛されるわけないでしょ。自分の身分理解してもらわないと困るw』




誰がこんな文章を送ってきたのかは分からない。


……どうしよう、これ…


「妃奈?」


靴を履き替えていた光莉が私の方を振り返る。


「あー、えっと…なんでもないよ」


瞬時にダメだと思った。


光莉にこんな言葉を見せてはいけない。


きっと光莉の笑顔が消えてしまう。


「もー、妃奈は嘘つけないのバレバレだよ笑」


光莉には笑っていて欲しい、そんな思いでついた嘘を光莉は簡単に見破った。