「凪くん、?」


「遅くなってごめん」


「……ううん、ありがとう」


凪くんは何も悪くない。だって助けてくれたんだもん……


心配そうに私を見つめる凪くんの胸に顔を埋めると、すぐに部屋に到着した。


「妃奈!ちょっと東雲くん、何があったの」


駆け寄ってきてくれた光莉の声を聞きながら、凪くんによってソファーにおろされる。


「私が説明するね」


「うん」


「その……中学校の頃に付き合っていた人に会って…その人のことが好きな女の子も来て、ちょっとトラブルが…」


伝えないといけないことが多すぎて、自分で説明すると言っておきながら、上手く話せない。


「それで妃奈が怪我させられた」


私が抱えられていた理由の部分を凪くんが代わりに言ってくれる。


「は?なんだそれ、嫉妬かよ」


「妃奈は完全に被害者じゃんね」


光莉は私に寄り添って、背中をさすってくれる。