(凪くんを怒らせてしまいました)


─さっきの出来事から数分後、車が家に到着した。


玄関までの道。先を歩いていく凪くん。


1度も振り向いてはくれない。


嫌だ……嫌だ……


離されたくない。


私は、遠くなっていく凪くんの背中を必死に追いかけて、開いたドアの隙間に飛び込んだ。


それに気づいた凪くんが、受け止めてくれて、2人同時に玄関に座り込む。


「な、ぎ…」


「何やってんの、」


……凪くんのこんなに低い声…聞いたことない。


怒ってる?呆れてる?軽蔑してる?


頭の中で何かがぐるぐる回っていく。


「……はぁ、」


凪くんからため息がこぼれた時……


さっきから、私の胸の中で動いていた何かに、チクンと針が刺さって……止めていた涙が一瞬にして溢れ出した。


つぅーと私の頬を伝っていく。