いつまでも変わらぬ君でいて

「ちょっと、あゆ。なんであんた梶とあんな仲良さげなわけ?」

「えー? なにがぁ?」

 休み時間、お手洗いから教室に戻ろうとして、聞こえてきた話し声に足を止める。

「アイツはやめときなって。あゆまでシカトされたらどーすんの」

 ほら、だから言ったのに。俺にかかわるべきじゃないって。

「梶くん、普通にいい人だよぉ? うちに傘貸してくれたし」

「え、なにそれ。あゆに気があるんじゃない? キモくない?」

「……ねえ、その言い方は梶くんに失礼だよ。べつに梶くん、キモくなんかないし」

 鮎川さんが、むっとしたように言う。

「え、ちょっ……まさか、あゆ……」

「はぁ? べつにそんなんじゃないし。っていうか、なんでそんなふうにしか言えないわけ? だいたいうち、まだ失恋の傷癒えてないし。そんなすぐ次のカレシなんていらないしぃ」

「あー、まあ、さすがに梶はないかー」

 ホッとしたように、鮎川さんの友だちが言った。


 ……バカみたいだな、俺。

 ゼリーもらったくらいで、ひょっとして……なんて頭の片隅で考えてしまった自分が恥ずかしい。

 ま、これで鮎川さんとの縁も切れたことだし。全部元通りになっただけだ。