「カジカジ~。早く行かないと、始業式はじまっちゃうよぉ?」

 教室の出入り口のところから、俺のことを呼ぶあゆあゆの声が聞こえる。

「わかった。今行くよ」

 席を立つと、俺はあゆあゆのとなりに並んで教室を出た。

「今日からうちら、三年生なんだねぇ。二年間、早かったねぇ」

「うん、そうだね」


 最初は、俺たちがみんなのお手本にならなくちゃって思ってたけど、俺はこの二年間で、みんなからいろいろなことを学んだ。

 相手を大切に想う気持ち。

 相手との未来を思い描く勇気。

 それに、愛する人といっしょにいられるっていうことが、どれだけ幸せなことなのかってこと。


 たとえ金の夫婦の卵(ゴールデンカップル)に選ばれなかったとしても、俺はもう決心した。

 卒業と同時に、あゆあゆにプロポーズするって。

 俺は、となりに立つ最愛の人の手をそっと握りしめた。

 いつまでも変わらぬ君でいてほしいから。

 俺が、君の笑顔をずーっと守り続けるよ。


(完)