「俺は、七海学園でトップになって、セブンオーシャンの社長になる。そして、鮎川さんと結婚する。そう決めたんだ」

 父さんの前に座ると、俺はそう宣言した。

「おまえはまたバカなことを! ちょっと好きなようにやらせてもらったからって、いい気になるんじゃない。第一、おまえがトップになどなれるわけがないだろう」

「あなた。礼音がはじめて自分の意思を伝えてくれたのよ?」

 いつもは黙って父さんの言いなりになっている母さんが、はじめて俺たちのケンカに口を挟んできた。

「俺は絶対に許さんからな。礼音は一条グループのご令嬢と結婚すると、もう8年も前に決まっているんだ」

「あなたはいつだってそう。家族は、あなたの仕事の駒じゃないのよ? 会社を守らなくてはならないあなたの立場もわかってるつもり。それでも、家族をないがしろにしなくてはいけないようなものなのだとしたら、そんなの間違ってる。礼音、あなたはあなたの好きなようになさい」