いつまでも変わらぬ君でいて

「……うん。わかった。だったら、うちも七海学園に行く。それで、カジカジといっしょに金の夫婦の卵(ゴールデンカップル)を目指す」

「ほんと? 本当にいいの?」

 俺が尋ねると、あゆあゆはこくりと小さくうなずいた。

「だから……入学するまでに、いーっぱいくっついておこうね」

 あゆあゆが、ちょっとだけ寂しげな笑みを浮かべた。

 あゆあゆにそんな顔をさせてしまうなんて……カレシ失格だな、俺。

 目を閉じて深呼吸すると、もう一度目を開けあゆあゆを真正面から見つめる。

「ごめんね。あゆあゆにばっか我慢させて」

「ううん。うちだって、カジカジの力になりたいし」

「……あのさ、あゆあゆ。七海学園に入学したら、最初の二年間は金の夫婦の卵(ゴールデンカップル)のことは忘れて、学園生活を目一杯楽しもっか」

「え? でもカジカジ、本気で社長を目指すんでしょ?」

 俺の提案に、あゆあゆが戸惑いの声をあげる。

「うん、もちろんだよ。でも、あゆあゆとちゃんと楽しい思い出も作りたいんだ」

「うちはもちろんうれしいけど……」

「本当の勝負は、最後の一年。だって、七海学園の中で本当のラブラブカップルは、俺たちだけなんだよ? ずっと一番じゃなくたって、一年あれば、俺とあゆあゆなら絶対に抜き返せる。だから、それまでは俺たちなりに、学園生活を楽しもう?」

「うん……カジカジがそれでいいって言うなら」

 そう言って、あゆあゆがうれしそうな笑みを浮かべた。