周囲をあっと驚かせる形で鮎川さんと付き合いだした俺は、元々鮎川さんがやっていた動画サイトや写真共有アプリの投稿にも、ちょくちょくいっしょに顔を出すようになった。

 最初のうちは、もちろん抵抗がなかったと言ったらウソになる。

 でも、俺には鮎川さんとの交際を広くいろんな人に認めてもらう必要があったから、そんな俺と、SNSへの投稿が趣味の鮎川さんとはある意味利害が一致したとも言えるかもしれない。

 俺が鮎川さんのことを『あゆあゆ』って呼びはじめたのは、投稿をはじめてしばらくしてからだったかな。

「だって、『あゆ』っていう呼び方だと、みんなといっしょになっちゃうでしょ? それじゃあ俺、イヤなんだけど」

 そう言ったら、あゆあゆはすごく喜んでくれたっけ。


 ちなみに、あれ以来父さんに直接否定されるようなことは言われていない。

 たまに苦い顔をしながら、「どうせ中学生のやることだ。放っておけばすぐ別れる」なんて母さんに言っているところを目撃することはあったけど、俺はあゆあゆと別れるつもりなんてこれっぽっちもなかったから、全然気にならなかった。