「巡ちゃん、ここで待っ…」

「あ!」

柊哉くんが話してる途中で、片付けに入った席を見つけた。

「あそこ!あきそう!」

「え」

私は柊哉くんの返事を待たず一目散に駆け寄り、そのテーブルに両手をついた。

「とった!」

席取合戦に見事勝利した私は、勝利の喜びを柊哉くんに伝えようと満面の笑みで顔をあげた。


「しゅ……、」


…………あれ?


目と鼻の先に、私を鋭い目つきで睨みつけるお姉さんがいた。

アイラインの強さが、そのお姉さんの気の強さを物語っている。

お姉さんはドカッと机に鞄を置いて低い声を出した。


「は?こっちが先なんだけど」

「へ」

「ねー剛ぃー。あたしの方が早くここ取ったよねー?」