「……わた、私、バスに戻ります」


私は早口で言って、さっき逃げていった人たちと同じように、逃げ出した。

背中に柊哉くんの視線を感じながら店の外に出る。


「ハァ、ハァ、ッ、ハァ、」


息が苦しい。過呼吸になりそうな気配がして必死で平静を保とうとするけどうまくできずにどんどん息が荒くなって、しまいには足を止めてうずくまった。


ついさっき見た柊哉くんの冷たい表情を思い出して、また全身に鳥肌がたった。


「ゼェ、ゼェ、っ……、」


恐怖で体が震えて、立ち上がれない。

今まで積み上げてきた柊哉くんへの気持ちが、両目からボロボロとこぼれ落ちていく。


「違う……っ」


誠実で、優しくて、爽やかな、私の王子さま


「どこ……?」


私の大好きな柊哉くんは、どこ?