柊哉くんが無表情で私たちの目の前に立った。

……明らかに柊哉くんの様子がおかしい。

坊主の人は構わず喋り続ける。


「俺がこの子貰えば過去のことも清算してあげー……」



ズガン!!


「!?」



……それは、一瞬の出来事で。

瞬きをしたら男の人の手が離れてて、柊哉くんが、片手で男の人の顔面をもって机に勢いよく叩きつけていた。


「っ…!?」


男の人が痛みで顔を歪めるのを、柊哉くんは信じられないくらい冷たい目で見下ろしている。



…………え?



「おい」



暗く低い声が空気を震わせると、その場の空気がキ…ンと冷たくなった。

お化け屋敷のお化けなんかよりずっと恐ろしいその声は、柊哉くんのほうから聞こえてくる。





「クソが気安く人間さまに触ってんじゃねぇぞボケ」





…………なんて?