柊哉くんは内緒にしたい。

「ちょっと」


柊哉くんの射抜くような目が、そこでくつろぐカップルに注がれている。


「明らかに彼女の方が早く取ってましたよね」

「は?」

「ここは僕たちの席なんで、他を探してください」

柊哉くんはニコッと笑ったけど、その目の奥は暗い。

「……あぁ?」

彼氏さんがガターン!と大袈裟に音を鳴らして椅子から立ち上がり、思わず肩がビクッと震える。

柊哉くんに一気に距離を詰めた彼氏さんの筋肉質な腕は、柊哉くんの腕の二倍はありそうだ。

一触即発の空気に、周囲のお客さんたちもピリッと緊張し始める。


「おいおい、俺の女が嘘言ってるっつーのかよ?」

「そうです」

「あぁん!?」


しゅ、柊哉くんーーー!(泣)