お姉さんが後ろにいる彼氏らしい強面のお兄さんに甘ったるい声をかけると、彼氏さんがスマホを見ながら気だるげに「おー」とだけ返事した。

「悪いけど他探して?」

お姉さんがぽってりした唇をやんわり曲げて、にっこりと私に圧をかける。


え…えぇ…


呆然とする私をよそにお姉さんたちは我が物顔で席に居座り、荷物をひろげていく。


嘘、嘘だ…!だって私が手をついた時ほんとに誰もいなかったもん〜!!(泣)

悔しさで身動きできずにいた私の視線にお姉さんが気付いて、私を睨む。

「……なに?」

「なんでもありません」

撤退。

私は大人しく他を探そうと振り向いた。

「わぶっ」

ぶつかってしまって見上げた先に、柊哉くん。