生涯好きな人

「別れましょう、紺くん」
ついにこの日が来てしまった。
初の目は本気で、まっすぐ俺を見てまっすぐに伝えてくる。
「なんで……」
聞かずとも理由はわかっていた。
でも夢であって欲しい、別れたくないって気持ちでいっぱいだった。
好きな人の幸せを祈れる人になりなさい。
前なにかで見た文が、スっと頭をよぎる。
それでも、分かったなんて言えない。
初が別れたいなら別れるなんて言えない。
初を幸せにするのは一生俺が良かった。
そう言ったら戻ってきてくれる?
「ごめんなさい、他に好きな人ができました」
縋るように初を見ると、容赦なく言われた。
「そっか、じゃあ仕方ないね……」
観念したのか、引き止める言葉は出てこなかった。
離れたくないのに、別れを受け入れてしまった。
不思議と涙は出なかった。
初は婚約指輪も体育祭で勝ち取ったペアリングも机の上に置いて、さようならと出ていってしまった。