生涯好きな人

学校を休んでしまった。
七海と親しげに話す初を、どうしても見たくなかった。
見れば見るほど初が俺から離れていく日が近づいている気がして、怖かった。
「ただいま」
その声と共に扉が開いたのは、初が部屋を出て1時間も経っていない頃だった。
バタバタと足音がして、ドンドンドン!と扉を叩かれる。
「紺くん大丈夫ですか!?」
扉越しでも走ってきたと分かる息づかい。
「なんで初まで休んでんの」
扉を開けながら言うと、ぎゅっと抱きしめられた。
いつもの優しくて安心する香りに包み込まれた。
「体調悪い紺くん、1人にできませんよ」
警報が鳴ることを理由に初から離れると、白いレジ袋が2つ足元に置かれていた。
「それ……」
買ってきてくれたのか、俺のために。
初のことだから、ドラッグストアまで行って走って戻ってきてくれたんだろう。
そう思うと、ぎゅっと胸が締め付けられる。
これが、いつかは七海に……。
「お薬とか買ってきました!痛み止めと風邪薬、どっちか分かんなかったので一応両方と、冷えピタと……」
袋の中を漁りながら、薬と一緒に水とスポーツドリンクを手渡された。
「私なにか消化のいいもの作ってきますね」
俺が布団に入ったのを見守ったあと、そう言って部屋から出て行った。
そばにいて欲しかった。
だけど行かないでなんて言えなかった。
でもあまりここにいてほしくもなかった。
どれだけ初のことが好きなのか、心臓の高鳴りが教えてくれるから。
初がどれだけ俺のことを嫌っても。