「うーい!ちょっと出かけない?」
「え!紺くん!?」
振り返ると、伸太郎くんが立っていた。
「ごめん、ヘラヘラじゃなくて」
「あ、いえ……」
昨日のめーさんと同じように紺くんの席に座る伸太郎くん。
「あれ、めーさんは?」
2人は一緒に帰るものだと思い込んでいた。
「ヘラヘラと初の様子がおかしいからさ。やっぱりなんかあった?」
「いえ、大丈夫ですよ」
私が言うと、伸太郎くんは少し考えた様子を見せて私の方を向き直った。
「じゃあちょっと付き合って!」
そう言われて強引に腕を引かれて連れてこられたのは、この前めーさんとデートをする服を決めるために一緒に来た、ショッピングモールの雑貨屋さんだった。
「めーちゃんにプレゼント買いたいんだけど、入るの緊張しちゃって」
そう言う伸太郎くんは、めーさんへの愛が溢れていて、めーさんが羨ましく感じてしまう。
「こういうの、初は好き?」
「可愛いと思います!めーさんに似合いそう」
いくつかの雑貨屋さんを巡って、伸太郎くんは素敵なプレゼントを買えたみたいだ。
「じゃあ帰りましょう」
「そうだね。……初、ほんとに大丈夫?」
「はい、大丈夫です」
そんなに酷い顔をしているのかな。
「いつもヘラヘラと帰るのに今日はヘラヘラ先帰ってたじゃん。喧嘩?」
「そういう訳じゃないんですけど……。でも大丈夫なので心配しないでください。また明日!」
逃げるように部屋に入ると、ちょうど紺くんがお風呂から出てきたところだった。
「おかえり。俺もう寝るから」
「あ……。おやすみなさい」
私が言うと、紺くんは何も言わずに部屋へ戻っていってしまった。