お母さんの話によると、わたしは低体温症のため、最低でも2週間の入院が必要らしい。
「まだ、退院まで時間がかかるんだよね?」
お母さんからその話をまだ聞いていなかった夏芽が、口を開いた。
「うん、2週間くらい」
「……そっか。じゃあ、2週間、雫はこのベッドで寝ることになるんだね」
「うん」
自分が招いた結果といえど、しばらくの間病院での生活になるのか。
夏芽と学校で話すこともできないんだね。
「だったら……」
急に、夏芽はカバンをごそごそと探った。
「はい、これ」
それは、夏祭りの時に、色違いで買った、緑のカラーひよこのぬいぐるみだった。
きょとんとしているわたしをよそに、ベッドの脇の小さなテーブルに、ぬいぐるみを置く夏芽。
「夏芽のじゃない」
まさかの夏芽のぬいぐるみをここで見るとは思わず、わたしは苦笑いをしてしまった。
「だから、しばらくはここに置いておくって決めたの」
「それなら、やっぱりこの子もいるわね」
急に、後ろからお母さんがやってきて、紫のひよこのぬいぐるみを寄り添うように置いてくれた。
「夜に寂しくなっても、この子達がいるから。今こうして一緒にいるひよこのように、わたしがずっと雫と一緒にいるって証拠があれば、寂しくないでしょ?」
夏芽の言葉が、わたしの涙腺を緩めた。
「ありがとう、夏芽、お母さん」



