「雫、どうして、突然いなくなろうとしたの……?」
「それは……」
「わたし達、支え合う親友でしょ。だから、話したところで雫の気持ちを否定なんてしないよ」
夏芽の言ってくれた言葉が、縛られている何かを、すっと解いてくれたような気がした。わたしは、一息ついて正直に話すことにした。
夏芽は、こうなる前にはお父さんとお母さんがいた。けれど、今では育ててくれる、おじいちゃんとおばあちゃんがいるということ。
わたしには、玲がいなくなっても恋人になってくれる人がいないということ。
わたしは玲をいじめた人たちから全否定されたこと、夏芽が、余計に羨ましくなってしまったこと。
羨ましい気持ちが募ると同時に、孤独を感じてしまったこと。
そういった寂しさから、抜け出したくてあの海に飛び込んだということ。
話し終えて、夏芽の顔を見ると優しい瞳から静かに涙を流していた。
「雫……ごめん、ごめんね雫」
「なつ、め……」
ボタ、ボタ。
夏芽の両目から溢れ出る涙は、わたしの手の甲へ静かに落ち続ける。
「わたし、雫と仲良くしてるつもりで、そうやって傷口広げちゃってたなんて……」
「夏芽!」
わたしは、夏芽の手をぎゅっと握った。
「わたしこそ、ごめんね。夏芽のこと、悪く思っちゃって、1人にさせようとしちゃって……」
「ううん、わたしが悪いのっ。雫の気持ちも知らないで、自慢なんかして。でもね、わたしの親友は、雫だけだよ」
「わたしの親友も、夏芽だけだからね」
わたし達は抱擁を交わし、お互いが親友であるという確認をした。



