どうして……?
あの時、海に確かに入って……あのまま、意識がなくなったと思ったのに……。
「お母さん……わたし、どうして……」
「雫が海に入ったところを見た人が、救急車に連絡してくれたのよ」
海に入ったところ、救急車、連絡。
そうか、あの時か。
わたし、助かっていたんだ。
じゃあ……あれは、玲がいたのは夢だったんだ。
「本当に、よかった……」
お母さんは泣き崩れ、その涙はわたしの顔に降りかかってくる。
「お母さん……ごめんね」
大切な人が亡くなる辛さ、わたしだってよく分かっているはずなのに。
あの時のわたしと同じ思いを、お母さんにさせようとしてしまったんだ。
ごめんね、お母さん。
本当にごめんなさい。わたしは、もう大丈夫だから。
もう絶対に、お母さんのおかげであるこの命を粗末にしないから。
それ以上、お願いだからもう泣かないで。



