「れ……い……!」
なんだか、急に口を動かしづらくなった。
まるで口のあたりに重いものでもあるような感覚だ。
「雫! 雫!」
あれ、ベッドの中にいる……あったかい……。
「雫! 雫!」
この声には……聞き覚えがある。
「雫!」
これは、お母さんの声だ……!
目を開けると、涙で顔が濡れたお母さんの姿が視界に飛び込んできた。
「お、かぁさん……?」
なんで、お母さんがいるの?
わたし、海で死んだはずなのに……。
もしかして、お母さんも死んだのかな……。
「あぁ、あぁ……良かった、雫、良かった! もうっ……」
お母さんは溢れ続ける涙を拭いもせず、わたしの顔を撫でたりさすったりしてくる。
良かったってどういうこと?
お母さんの手の感触は、しっかりとわたしに伝わっている。
少し周りを見ると、わたしは病院のベッドの中に入っていたのがわかった。
わたし、死んでない……?
生きてるの……?



