代わりに、玲はゆっくりと自分の手を、顔の横へと動かす。
顔の横へと動かした手を、横に振る玲。
その直後、玲の姿は空へ浮かび上がった。
あっ、朝陽が昇ってきた。
なんだか、時間が進むのがものすごく速くなっている気がする。
さっきまで、紺色だった空はオレンジ色の朝陽と混ざり合い、グラデーションになっていて、いつの間にか金色の月の色は薄くなっていた。
朝陽の光を浴びて、玲の姿はどんどん遠ざかり、どんどん薄くなっていった。
「えっ……そんな……」
わたしが玲に手を伸ばしても、なぜか玲の手を掴めない。
次第に、玲の体は薄くなって遠くなっていくばかりだった。
待って、待って、玲!
やっと会えたのに、どうしてまたいなくなっちゃうの?
お願い、玲。
待って!
わたしを、置いていかないで!
「玲!」
玲は結局一言も喋ることなく、すうっと姿を消してしまった。まるで、朝陽の光に溶けるように……。



