俺が、好きになっちゃダメ?


「雫、おはよー!」



翌日。わたしが、自分の席でバッグから机の中へと教科書を移し替えていると、夏芽がやってきた。

……なんとなく、夏芽の声がいつもより明るく感じる。



「あっ、夏芽。おはよう」



わたしが挨拶を返すと、夏芽は肩にかけているバッグを揺らしながら、ニコリと笑った。



「夏芽、新しいストラップつけたの?」



夏芽のスクールバッグに、昨日まではついていなかったはずの、ストラップがついていた。



「うん! これは昨日ね、おばあちゃんが作ってくれたストラップだよ。100円ショップで、材料を買った後にね、見て」



夏芽は、その持っていたストラップを裏返した。
そこには、お父さん、お母さん。そして、5歳くらいの女の子の写真。
……昨日の用事って、このことだったのかな。



「わたしと、お父さんとお母さんが写った、お気に入りの写真。おばあちゃんがストラップにしてくれたんだよ」



お父さんとお母さんと一緒に写った写真、今いるおばあちゃんがストラップに……。



「どしたの?」



夏芽が、ぱちくちぱちくりと瞬きをしながらわたしに問いかけてくる。



「ううん、なんでもない! よかったね、夏芽」



わたしは、必死に笑顔を作って答えた。


夏芽には、おじいちゃんとおばあちゃんが、亡くなったお父さんとお母さんの代わりに育ててくれている。
でも、わたしにはいないんだよね。


玲の代わりなんていない。