放課後、今日は夏芽が用事があることで先に帰り、わたしは1人で帰ることにした。
「ねえねえ、やっぱり彼氏とデートしちゃう?」
「えー、でも彼氏だって別の予定あるかもしれないし、分かんないよー?」
「何それ〜、せっかく年に一度のイベントだよ。しかもクリスマス! 大好きな彼女とデートするんだったら、空けるに決まってるでしょー」
1年生の教室を通りすぎると、後輩もちょうど帰りのホームルームが終わったらしく、廊下へ出始めながらそんな会話をしている女子たちもいた。
からかっている方の子は、軽く体当たりしながら楽しそうに話していて、相手の方の子は恥ずかしそうに口元を覆いながら体をくねらせている。
……彼氏とクリスマスデート、か。
玲が亡くなってから、クリスマスの時期となると街中を歩くカップルはいつも以上に別の世界の人のように見える。あの子も、わたしにとっては別の世界の子だ。
「木嶋先輩」
聞き慣れた声が、耳にスッと入ってきた。
振り向かなくても声の主は、わたしには分かる。
その瞬間に、わたしの足はどんどんスピードを上げ、学校から離れていった。



