俺が、好きになっちゃダメ?


文化祭の前日がやってきた。

お城も完璧な状態にしあがり、ロミオの剣や最後に飲む毒薬に見立てたものも準備ができあがっている。


今から、リハーサルだ。



「裏方の人は、台本を見ながらセリフが合っているかどうかの確認をお願いしまーす! 照明の人もスタンバイよろしくー!」



監督の人の大声で、みんないそいそと行動する。



「毛利」



横からわたしを呼ぶ声がして、振り向くと木嶋くんがいた。



「木嶋くん、何……?」



薄暗い教室の中で、うっすら見える木嶋くん。
花火大会を思い出して、またあの時のように心がくすぐったくなった。



「俺たち照明係にしかできないことを、一緒にしっかりやっていこうな」



「う、うん!」



俺たち照明係……。

そうだよね、わたしと木嶋くんは照明係。

事実だというのに、胸元がざわざわ騒いでいてすごくうるさい。



「毛利さーん! 急いで!」



「は、はい!」



なんとかざわつく心臓を抑えて、わたしは下手の方へ向かった。