「きょ、共同作業って絶対ないってば……」
お城に見立てるものを作ることだって、2人だったら負担が大きいだろうし、他の人がやることをなくしてしまう。
「えー……お近づきになるチャンスだよ」
「だーかーらー、そんなのいい!」
「毛利さん、梅本さん、2人とも喋ってるけどいいですか? ちゃんと決めないと始められないんですけどー」
実行委員の人の声が飛んできた。いぶかしげな目をしている。
「「は、はーい……」」
わたしが喋っているのは、夏芽がうるさいからなのに……。
「では、ジュリエットとロミオ役を決めたいと思いまーす」
これは、かなりのハイスピードで決まった。
ジュリエットは明日香ちゃんが演じることになり、ロミオは鮎川くんに決まった。
「もったいないなぁ……」
後ろでまた夏芽が何か言っているけれど、また実行委員の人に目をつけられたら嫌なので、無視することにした。
しかし、結局照明をあてる係にわたしと木嶋くんが決まったのだ!
木嶋くんが上手の方から、わたしは下手の方からライトをあてることになった。
「やったね、雫!」
まるで、夏芽は後ろから自分のことのように大喜びでガッツポーズをしていたけれど、リアクションに困ったわたしは苦笑いしかできなかった。



