俺が、好きになっちゃダメ?


お風呂から上がり、自分の部屋に戻ってスマホを見ると、メッセージの通知が1件届いていた。

夏芽から、今日、一緒に試合を見た感想でも来たのかな、そう思ってアプリを開いてみると、なんと宛名は木嶋くんからだったのだ。



『毛利。ありがとな』



『そういや、毛利は自習室利用するのか?』



そうだ。
そういえば、学校の自習室が開放される時間があることを忘れてた。
全然確認していなかったなぁ。



『そうだね、明日行こうと思うよ』



『木嶋くんは、明日も部活?』



『おう、もう明日からは基本休みなし』



『夏休みなのに、大変だね。頑張って!』



『ありがとな、次の試合も頑張る』



そうだ、さっき言おうとして言えなかったあのこと、今メッセージを打って、伝えることならできるだろうか。



『試合してる様子、かっこよかったよ』



最後にそのメッセージを打って送ろうと思ったが……なぜかダメだった。


どうしてだろう。
今は誰も邪魔をしないのに。


結局、そのメッセージは送信することなく、全ての文字を消して、わたしはやりとりをそこで終了させてしまった。