俺が、好きになっちゃダメ?


今日は、サッカー部の試合だった。


といっても、わたしが来た理由としては、木嶋くんに「ぜひ来てほしい」と言われたからなんだよね。

だから、わたしは夏芽を誘って、試合を見に行くことにした。


外はかんかんに晴れていて、試合にはぴったりの天気。
わたしも夏芽も、日傘をさして会場まで来たのだ。



「毛利!」



聞き慣れた声が、わたしの苗字を呼ぶ。
木嶋くんはゼッケンを着て、準備はできているようだ。



「木嶋くん!」



「マジで来てくれたんだな、梅本まで。サンキュ」



「ううん、いいんだよ。頑張ってね!」



「木嶋せんぱーい!」



わたし達の声を遮るように、短めのポニーテールの女の子が、木嶋くんを呼ぶ。



「なんだ、直原(なおはら)か」



「なんだ、じゃないですよ! そろそろ集まらないと、先生が怒っちゃいますよ!」



ほらはやくはやく、と直原と呼ばれたその子は木嶋くんを急かした。



「誰だろう?」



「誰って、普通にうちの学校の1年生だし、ただの後輩だと思うけど……どうかしたの?」



「いや、なんかさ」



なんだか、その女の子はわたし達のことを避けようと必死になっている気がしてならなかった。