俺が、好きになっちゃダメ?


驚いて、今スプーンですくったばかりのかき氷のかすを、土に落としてしまったわたし。



「なんでも、カラフルな鶏になるって言われて買ったらしいんだけど、普通の白い雄鶏(おんどり)になったんだってさ」



確かに、今でも当たりなしのくじ引きの屋台があったりするからね。
昔はそういった方法で、騙している人がいたんだ……。



「だけど、動物愛護団体でいろいろ厳しくなったから、今はもう日本では廃止になったって聞いたけど……」



「じゃあ、どうして……?」



「行ってみよう!」



夏芽は、カラーひよこの屋台に向かって、思わずわたし達も半信半疑のままついていってしまった。



「……あれ?」


目の前までくると、急に目をぱちぱちとさせる夏芽。



「カラーひよこのぬいぐるみはいかがですかー?」



屋台にあるカラーひよこというのは、いろいろな色のひよこをモチーフにしたぬいぐるみだった。



「「かっわいいー!!」」



生き物だったらすごく可哀想だと思ったけれど、ぬいぐるみで安心した。
ピンク、青、紫に緑など、色とりどりでもふもふなぬいぐるみ達がずらりと並んでいる。可愛くて食べてしまいたいくらいだ。



「思い出にどうですかー?」



「ピンクのひよこくださーい!」



わたし達を押し退けて、中学生くらいの女の子がピンクのぬいぐるみを買っていっている。



「安心、だね!」