「おはよう、雫」



「おはよう、夏芽(なつめ)」



梅本(うめもと) 夏芽。


夏芽は、わたしの親友。


そして、身近にいる人を亡くした経験があるという共通点のある数少ない存在。

夏芽は、幼い頃にお父さんとお母さんを亡くしていて、おじいちゃんとおばあちゃんに育てられたらしい。



だから、お互いの過去を打ち明けた後に、


「2人で支え合おう」という約束をした。


夏芽がいなかったら、わたしは後追いでもしていたかもしれない。


優しい奥二重の目に、背が低くて桜のように微笑む彩葉は、いつ見てもほんわかしていて癒される存在。


例えるなら、なんだろう。


霧に覆われた中で、力強く咲く桜といった感じだろうか。


だって夏芽は、闇色の世界で唯一光っている存在なんだから。