「雫、おはよう」
スクールバッグから、教科書を机の中へ移動させている時のことだった。
凛とした声に反応したわたしは、思わず顔を上げる。
「おはよう夏芽」
夏芽と一緒なら、わたしは笑顔でいられる。
夏芽も嬉しそうに、両手をわたしの机に乗せてくる。
「ねえ、夏芽。今日席替えだよね」
「あ、そうだったね!」
「次もまた、近い席がいいよね」
今の席は、夏芽がわたしの斜め前なのだ。
「というか、わたし達そうじゃなきゃ無理だよ……」
夏芽の力ない笑い方に、わたしも思わずつられてしまう。
わたし達は今でも、2人じゃないとダメで、一緒にネガティブになってしまうことが多い。



