タルトを食べ終えた後に、ドアノブを押して圭志と部屋に入ると、シェルフに目が入った。
わたしが幼い頃、愛用しているネコのポシェットがかけられている。
……ほんと懐かしいなぁ。
玲が亡くなってから、一度も肩からかけていないのに、捨てられなかった。
ポシェットは、それこそ物は入っていないけれど、代わりに思い出が詰まっている。お父さんやお母さんとのことだけではなく、玲との思い出だって、たくさん入っているのが確かだった。
それなのに捨てたら、玲との思い出も捨ててしまうような気がして、それはまるで玲が元から生まれてこなかったようにすることに近く感じたから。
そんな思い出が入ったポシェットの中に、試しに手を入れてみると、何かが入っている手応えを感じた。
「ん?」
ポシェットを逆さにして、てのひらの上で揺すってみる。
コロンと現れたのは、四つ葉のクローバーの形をしたお守りだった。
「あっ」
これは、小学生の頃の修学旅行。
玲がお小遣いでわたしに買ってくれたお守りだった。
わたしはその時から勉強熱心で、成績を維持したいと言い続けていた玲のために、紫色の学業のお守りを。
玲は、緑色の四つ葉のクローバーの形をした幸運のお守りを。
それぞれレジで包んでもらって、交換したんだっけな。
思わず、お守りをぎゅっと握りしめた。
あんなに幼かった頃から、わたしの幸せを願い続けてくれた玲。
あの時、優しい笑顔で差し出してくれた玲の顔を思い浮かべ、四つ葉のクローバーがにじみ出した。



