放課後、わたしは圭志を連れて自分の家に招き入れた。
「ただいま、お母さん」
「おかえり、雫。フルーツタルトできてるわよ……って、あら!?」
「お邪魔します」
わたしの後に入ってきた圭志は、お母さんに律儀に挨拶する。
てっきり夏芽を連れてくると思っていたであろうお母さんは、圭志を見て目を丸くした。
わたしの方から最初に話そうとしたけれど、あまりにも口ごもりすぎて言えなかった為、圭志が代わりに「お付き合いしています」と説明してくれた。
最初こそ驚いていたお母さんだったけれど、すぐに状況を理解して微笑み、
「圭志くんも、フルーツタルト召し上がってちょうだい」
と言ってくれた。
「ありがとうございます」
お母さんの手作りの、フルーツタルトだ。
お母さんは、昔からフルーツタルトを作るのが得意で、よくわたしや玲にも作ってくれたのだ。
幼い頃のわたしの誕生日でも、ケーキ代わりにこのタルトだったな。
お母さんが、わたしに「誕生日は何ケーキがいい?」と聞けば、「ケーキじゃなくて、お母さんが作ったフルーツいっぱいのタルトがいい!」とうるさく言ったからなんだけどね。
イチゴ、ブルーベリー、マンゴーにキウイ。
色鮮やかなフルーツが、溢れそうなくらいにそのきつね色のタルトに乗っていて、みんな一緒に輝いている。
まるで、美味しい宝石みたい。
「ん……うま」
「そう? 良かったわ」
「あら、ごめんなさい。これは、若い2人だけっていうのがいいかもしれないわね」
お母さんは、そう笑いながら離れた。
まるで、圭志そのものがカラフルなフルーツタルトって感じだなぁ。
甘酸っぱい恋も味わわせてくれたし。
闇色だった世界を、カラフルに変えてくれた。



