俺が、好きになっちゃダメ?


お葬式。
本当は平日だったけれど、お母さんが学校に連絡を入れてくれて、わたしも参加した。


式場に入ると、玲の写真が視界に飛び込んできた。
あの時と比べて、少し大人っぽくなっているけれど可愛い笑顔はそのまま。


わたしは、その場からあとずさった。
一歩ずつ、一歩ずつ。



「玲、玲……!」



玲の写真。
写真に写った、玲の笑った口元を見つめると今にも何かしゃべってくれそうな気がした。

……そんなわけないのに。
それでも、しゃべってほしい気持ちがわたしの胸の中から出ていこうとはしてくれなかった。



「おにいちゃん! やだよ、かえってきてよぉ! おにいちゃーん!!」



辺りに響き渡る、玲の7歳下の妹・晴(はる)ちゃんの泣き声。

わたしは、声を上げることもできないし、涙も出ない。