「そんなことないのにね。お兄ちゃん、親不孝者じゃないのにね。弱くなんか、ないのにね」
赤くなった鼻で、晴ちゃんは精一杯言葉を紡ぐ。
「わたしも、そう思うよ」
「でも、お兄ちゃんらしい……」
晴ちゃんの言葉に、無言で頷くわたし。
「雫ちゃん」
「ん?」
「わたし、ずっと将来の夢、迷ってたんだ。大学行った方が有利だとか、いい会社に就職するに越したことないのは分かってはいたんだけど……」
玲が書いた遺書を抱きしめながら、晴ちゃんは話を続けた。
「でも、分からなかった。将来のために、いい学校行くとか、そういうのじゃなくて、ちゃんとした目標を立てて、なりたいものを見つけたかったの」
わたしは、うんうんと頷きながら、晴ちゃんの話を聞いた。
「わたし、電話教育相談員になりたい」
「電話教育相談員……」
「うん、お兄ちゃんはもちろん、雫ちゃんだって苦しかったし、わたしだって悲しかった」
寂しそうに微笑む晴ちゃん。



